大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和52年(タ)442号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

8 被告は、現在では、これまでの被告の考え方に行きすぎがあつた旨自認し、原告と同居して生活をしたいとの意向を示しているが、今や原告にその意思は全くない。また、原、被告は、夫の氏「渡邉」を称する婚姻をしているのに、前記のように、被告は婚姻直後の頃から婚姻前の氏「武藤」に強い執着を示し、この執着は現在でも極めて強く、自ら「武藤美枝子」と称している。更に被告は、法律的意味での婚姻を維持するか否かの点にはさほどこだわりはなく、要するに原、被告がその生活を共にすることが重要であると考えているが、原告にその意思は見られない。

以上のとおり認められる。

二いうまでもなく、本件における最も重要な問題は、法律上の婚姻が破綻しているか否かであるが、以上認定の事実によれば、少なくとも法律的意味における原告と被告との婚姻関係が、客観的事実として、現在既に回復し難い程度にまで破綻してしまつていることは疑う余地がない。しかも右の破綻についての責が主として又はもつぱら原告の側にあつたものといい得ないことも明らかである。

三よつて、右の破綻の責が主として又はもつぱら被告の側にあつたか否かの点を論ずるまでもなく、民法七七〇条一項五号により被告との離婚を求める原告の本訴請求は理由がある。

(仙田富士夫)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!